最適解を最短でみつける。クリエイティブロードマップの作成方法

オンライン広告の中でもサーチ広告よりも、特にディスプレイ広告はクリエイティブで大きくパフォーマンスが変わります。サーチ広告ではそれほど大きく運用者によってクリエイティブが変わることはありませんが、ディスプレイ広告の場合は同じ商材でも180度違った広告になることもあります。まさに広告運用者の実力が問われるところです。当記事ではディスプレイ広告のもっとも良いクリエイティブを最速で見つける方法を解説します。

顕在層にアプローチするがゆえの難しさ

ディスプレイ広告は、明確な検索ニーズを持った情報収集に対して能動的なサーチ広告とは違い、なんとなくサイトを見てる中で、「なんとなく良さそう」「これ何だろう?気になる」と我々広告主からの発信に対して、いわば受動的にメッセージを受け取ったユーザーにクリックしてもらわなければいけません。

ディスプレイ広告は多くの場合ニュースやSNSの中に紛れ込んでいる状態、悪くいうと圧倒的な情報量の中で埋もれてしまいます。このような劣悪環境の中で、瞬時に興味を惹きつけ、クリックしてもらい、コンバージョンまで持っていくのはそう簡単ではないのがわかりますよね。

近年ディスプレイ広告が全盛の理由

そんなディスプレイ広告ですが、近年アドアフィと呼ばれる大きな広告費を動かそうとする人たちや、ファーマフーズなど化粧品や育毛剤などのオンライン広告費のトップ企業の出向先の大半はディスプレイ広告です。

圧倒的なインプレッションボリューム

一般的にWEB広告を始めるとき、最初に試すのがリスティング広告です。前述のように明確なニーズを持ったユーザーが能動的に来てくれるわけなので、それはCPAは良くなりそうですよね。

ただ問題があります。それはインプレッション数の壁。これだけ良いことばかりの広告なので競合もみんな頑張っています。すると単価も上がります。単価を上げすぎると今度は費用対効果が合いません。

その点、ディスプレイ広告は圧倒的なインプレッションがあります。例えばLINE広告は日本で9000万人近いユーザーを抱えており、LINEニュースなんて誰も見ないでしょと思いきや、とんでもない人にアプローチできます。

配信ロジックの飛躍的な改善

かつては「ディスプレイ広告=バナー」。コンバージョンなんて全く期待できずその目的はあくまで認知度アップ。その割に例えばYahoo!トップバナーなんて1日出稿するだけでとんでもない広告費がかかり、こんなものに出稿するのは広告予算の多いナショナルクライアントくらいでした。よくテレビCMとセットで広告代理店によって販売されたりしていました。

資格、ここ数年で機会学習のロジックが飛躍的に改善し、かつては認知度をあげるために使えた程度だったディスプレイ広告が、今ではすっかりコンバージョン刈り取り目的での利用がメインとなりました。

最適なクリエイティブは誰にもわからない

前置きが長くなりましたが、こんなディスプレイ広告。クリエイティブの重要性は言うまでもありません。クリエイティブの基本は訴求ポイントを絞り、要素を詰め込みすぎないことが大切です。では、どの訴求ポイントを使うのか。

低価格。高品質。かんたん。デザイン性。高口コミ。実績。全国対応。著名人が開発した。数量限定。

このように色々訴求ポイントがある中で、商材によってもちろん推しポイントは違うと思います。「うちは低価格高品質を売りで商品設計したからこれを全面に出したい」みたいなことも思うかもしれません。

マーケティングの中で、最もいけないのは自分の価値の押し付けです。正解は自分にはわからない。正解を知るのはユーザーのみ。そう、正解は試さないとわかりません。数字のみぞ知る、ですね。

また、ユーザーの中でも年齢や性別で刺さる訴求は違うかもしれないし、同じ年齢や性別でも媒体によって刺さる訴求が異なることも少なくありません。なので全ては試してみないとわからないのです。

実際に訴求ポイントの最適解を見つけるためにどのように進めれば良いのか。「取り敢えず、まずは価格推しと実績推しでやってみて、ダメなら次の訴求を考えよう。」みたいな行き当たりばったり的なやり方だと本当の今での最適解を見つけられない可能性が高くなります。
やがて適当なABテストを勝ち抜いた正解クリエイティブが出来上がると思いますが、本当にそれが1番良いのか。もしするとそれよりも優れている訴求があるかもしれません。つまり、考えられる全ての訴求を試し切れてないため、漏れがある状態になっています。
では、どのように進めれば本当の意味で最もユーザーに刺さる訴求を見つけることが出来るのでしょうか?ここでタイトルにもあるロードマップが登場します。配信を始める前に、考えうるすべての訴求を書き出します。ポイントは、考えうる「すべての」訴求を書き出すことです。ここで漏れがあると、たまたま試してみた訴求の中のベストプラクティスが見つかるだけになってしまいます。その場で適当に考えながらやってしまうと、結局そこそこのものが出来上がってしまうのです。
先に少し時間をとり、考えられる訴求をMECEで書き出す。これは広告主視点だけでなく、ユーザー視点、何人かの友人などにも聞くべきです。少し大変ですが、これで得られるメリットを考えるとしっかり考え抜くことが長期的に大きなメリットを享受できると言えます。
例えば、宅配クリーニングのサービスの訴求を考えるとします。パッと考えられるメリットは、簡単、時間短縮、クオリティ、シーズン以外の時期に預かってもらえる、などが挙げられます。もちろん何かしらキャンペーンなどあればそれも押し出すべきです。
ここでもう一歩踏み込んでみることが大切です。特にディスプレイ広告の場合、世間のイメージを覆す必要があります。例えば宅配クリーニングは一般的なクリーニングよりも高く一見価格訴求はできないように思えます。しかし宅配クリーニングは、箱に入れて玄関に置いておくだけで完了。持ち込む時の手間を考えると時間短縮になり、時間短縮=コスパが良いとなる層も少なからずいるはずです。また、空いた時間で家族団欒の時間が増えたり、自分の趣味の時間が出来たり、もう一歩踏み込むだけで、「宅配クリーニングのおかげで増えた家族時間」とか、サービスによって得られるメリットまで踏み込んだ訴求もこの時点で入れておくべきです。この場合は、得られるメリット訴求とまとめてもOKです。
とにかくその時点で考えられる訴求を絞り出し切る。この時点で最も大切なポイントです。ここで網羅性の高い絞り切ったロードマップさえ作ってしまえば、その後のクリエイティブテストはこのロードマップ通りにやれば良く、その場の思いつきのクリエイティブから脱却することができるようになります。